Oさまのお住まいは築80年。大きな地震のニュースを見て自宅の状態が心配になり、耐震リフォームを決意されました。「祖父が選りすぐりの材木で建てた養蚕農家の造りで、愛着も深いので壊してしまうのはしのびなくて。今の暮らしに合った明るく開放的な間取りに変えつつ、古い梁や建具などを生かした趣ある住まいに蘇らせたいと思いました」とOさま。見どころは玄関ホールとセカンドリビング。隠れていた梁を見せ、簀の子状の吹き抜け天井から灯りが漏れるように演出しています。高い窓から光が差し込み、明るさも見違えるよう。耐震性や気密・断熱性も高まり、安心・快適な暮らしになりました。
家族構成 | 母+夫婦+子ども1人 |
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間取り | Before: 9LDK → After: 6LDK |
築年数 | 80年 |
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リフォーム面積 | 199.25平米 |
工期 | 4ヶ月 |
Before
Before:9LDK
After
After:6LDK
和室と洋室を取り払い、天井も撤去して創り出した開放感あふれる吹き抜けのセカンドリビング。小屋裏の簀の子状の板間から灯りが漏れて、間接照明のような雰囲気です。建具や2階壁の3連のガラス窓は既存のものを再利用したもの。レトロな雰囲気が味わい深く、建具は障子戸を外すと夏仕様の建具となり、風通しが得られます。
千本格子の建具、レトロな窓ガラス、書院や欄間の組子細工など、古い部材を活かして趣豊かな住空間に仕上げました。「解体して古いものが出てくると、大工さんが上手な再利用を提案してくれました」とOさま。梁と柱はダークに塗装し、大黒柱を2階まで付け加えて通し柱に見せるなど、新旧を違和感なく調和させています。
趣豊かな奥の本格和室は、既存のしつらえを大事に生かして再生しました。傾いていた柱は両脇を化粧部材で固めて太くし、まっすぐに補強。壁を灰味のある淡い青色で再塗装し、見事な組子細工の書院の欄間や障子は洗ってきれいに蘇らせている
2階から玄関ホールを見下ろした眺め。吹き抜け空間に和紙のペンダント照明がしっくりと調和。縦横にわたる古梁が家の歴史と風格を感じさせます。
階段横のデッドスペースだったところに腰壁をつくり、蔵書がたっぷりと収まる本棚を造作。「読みたい本をここで選んで、2階に持って上がります」とOさま。
壁の位置をずらして広げた玄関ホール。階段を撤去し、天井も取り払い、ダイナミックな吹き抜けにして縦横に走る梁を見せました。さらに2階の天井ボードも撤去して、簀の子状の床を現しにしている。吹き抜けに長い和紙のペンダント照明を設置。千本格子の建具は和室に使われていた80年前のもの。今回、袴をはかせて高さを調整し再利用しました。
1階部分にサイディングを張り、2階部分は再塗装をして美しく蘇らせた外観。腰壁を配した外壁で落ち着いた佇まいになりました。グレータイル床の玄関ポーチに、木調格子デザインの玄関引き戸が調和。屋根は瓦の土を除去して軽くし、耐震壁をバランスよく配して耐震性も向上させました。
※実例に掲載されている内容は、ヒアリング時の情報です
担当者のコメント・アドバイス
まず、床や壁を取り払ってほぼスケルトン状態にし、ベタ基礎に打ち替え、傷んでいた床下や梁を補修・補強。外壁に体力壁をバランス良く入れて耐震性能を高め、断熱材で気密・断熱性能も向上させました。リフォームの見どころは大きく広げた玄関ホールと、2部屋を取り払ってつくったセカンドリビングです。どちらも吹き抜けにして隠れていた古い梁と柱を見せ、さらに2階の天井ボードも剥がして簀の子状の構造を見せ、照明の灯りが美しく漏れる演出をしています。塗装で色味も揃えて、新旧の部材を美しく一体化させました。